Mystery Paradise

元は今はなきアサヒネットのmystery paradise 会議室の分室のつもりだった。haha

011 踏切伝説とヒヤリハット目撃の話

列車見張員というのは列車見張員資格の二日講習と試験を受けて(まず落ちることは、あの効果ははなはだ怪しいクレペリン検査に落ちない限りないのだが)通ると、毎年更新講習と試験でJR各社毎に篩にかけられるのですが、それ以外にJR東日本の場合元請各社に年二回の触車事故防止講習教育を義務づけているので、その講習にもでないと資格はあれども線路内には入れないということになる。それで元請の開く教育を半日受けるはめになるのだが、その講師は元請の会社の安全担当部長次長クラスで、皆、現場体験を経てきてるから、いろいろエピソードが聞ける。
そのうちのお一人が体験談で話したエピソードのうちおもしろかったのが一つある。

お召し列車通過待ちの警官の障検事故の話

天皇一家の列車移動の時は「お召し列車」というのが運行されて、それなりの専用列車もあるのだそうだけど、今は普通の列車で移動するのだそうだ。まあ、新幹線を一家族のために特別仕様車を作るわけにはいかないということもあるでしょうね。
そのお召し列車の運行スケジュールは関係社外には丸秘ですが、警戒に当たってる警察警備会社には前もって動員体制編成のために知らされている。スタッフ名もあらかじめ当局に登録されてしまうので、他人の名前で借り出されたりすることもある。(内緒内緒)
踏切という踏切、鉄道橋という鉄道橋、ガードというガードに警官と警備員が立哨して警戒に当たるのだけど、海外からの賓客が多数でかつ、その家族も動くとなると当地の警官の数も不足して、他県からも応援を頼むことになる。
その応援で借り出された某県警の某新人警官が都内場末のある踏切で一人で立ってる羽目になったとか。(警備員もいたのかどうかは不明なんだが)それで、信号が鳴り出し遮断機が下りたが、どこかで停止信号が発報したらしく踏切は閉じたままで列車は接近しないまま時間が過ぎる。件の警官はなにが起きたのだろうと線路の中へ遮断棒をくぐって入った。本人は線路の二本の線路内に入らなければ別にいいだろうと、見通しのいいところへ立ちっぱなし。ところがそこは障害検知装置のビームが走っている。これを遮断しても短時間ならどうってことがなかったのだが、ひょっとすると、開かずの踏切状態で交通渋滞がおきはじめていたのかもしれないし、障検のないローカルな踏切で似た様な経験をしたことがあるのかもしれない。とにかく首都圏の踏切には障検があるということを知らなかったという。そのうち、そこの踏切で障害検知装置が発報したけど、警官はもともと踏切は鳴動して遮断棒は降りてるから気がつかない。他の原因の最初の停止信号に続いての発報で、さては踏み切りで事故車かと関係者が駆けつけてみたら、障害物は人間でしかも警官だった。この警官、首都圏警戒に送り出されるくらいの将来有望な若手だったのだが、その後、山中の寒村の駐在所勤務となって、定年を迎えたそうな。
多分、都市伝説みたいな話なんだと思うけど、その安全部長は自分も現場にいたころ狩り出されたときに起きたことなんで、機会があるごとに琵琶を持たない琵琶法師みたいに伝説を語るのだとか。

長い踏切と小さなヒヤリハット事故

東北本線の前回の話で無謀運転車に踏切遮断機を撥ね上げっぱなしにされてしまった同じ踏切での帰宅時の目撃です。
この根岸踏切というのは、夕方の5時半ごろになると開かずの踏切状態になります。15分、20分遮断機がおりっぱなしなんてのは普通なんだそうです。で、上がってもすぐに鳴動が始り、1分も立たないうちに遮断棒がおり始めることもよくあるとか。
この夕方も同じ状態で、埼京線十条駅の南口に通じる本町通に出ようなんて考えたCakeaterも物好きってやつです。で、とにかく上がったので、皆一斉にわたり出す。全員、歩行者も自転車もダッシュで渡る。
踏切遮断棒が降りたらほぼ30秒で電車は来るし、鳴動し始めから1分で電車が現れると思ってれば踏切の安全時間は計算できる(列車見張員の常識)ので、まあ一分あれば、京浜東北線南行北行東北本線複々線の合計6本の線路は渡りきれる。けど、遮断機がおり始めてななめになってから渡り出したら、自転車でもちょっときつい。
そういうギリギリのタイミングで渡ってきた自転車が遮断棒を降りて押してくぐろうとして、何かが引っかかって自転車は転倒してしまった。
いきなり起こる子どもの泣き声。引っかかったのは小さな女の子でした。父親はあわてて、子どもが線路脇の溝に落っこちかけてるのを抱き上げ、自転車を片手で引き回しながら遮断棒をくぐりぬけました。踏切の外に落ちてる携帯電話を拾い上げたところに東北本線下り電車が通過しました。
女の子はママー、ママーと泣き叫びながら父親に抱かれて、線路近くの家へ帰っていきました。
一歩間違えば・・・これは一般の避槍法度でございましょう。
(1)市民個人的には、まず踏切鳴動したら絶対渡ろうとしないこと。
(2)子どもを自転車に載せるときは、運転する親ともども必ずヘルメットをかぶる。
(3)鉄道会社と自治体は、こういうギリギリの踏み切りは横断橋を作るか、ガードをくぐらせるようにすべきでしょう。
(2010.11.28 補足;根岸踏切と東十条駅の間にもう一つ踏切があって、その踏切の近くには、横断トンネルが20mほど根岸踏切よりにあるから、そちらに回れば十分というのが、自治体やJRの考えなのかもしれない。ま、そちらをまわると十分前後の遠回りになるから、そのまま根岸踏切で待ってみようかという気になる微妙な距離なんですね)