Mystery Paradise

元は今はなきアサヒネットのmystery paradise 会議室の分室のつもりだった。haha

004 垣野内成美(画)「薬師寺涼子の怪奇事件簿」講談社2004年 原作:田中芳樹。

美貌・頭脳・運動神経・富豪・権力・若さ全部揃いのスーパーヒロインの物語。 
田中芳樹の作品というのはマンガの原作のためにある。小説で読むよりマンガで読むほうがずっとおもしろい。
ヒロインの名前は、薬師寺涼子、二十七歳。東京大学法学部出身、成績は全優。(これは、大学受験を勝ち抜いたものには、そう難しいことではない。法学部の採点基準は、満点レベルが低いのである。文学部の場合、教授たちが、満点なんて自分達でもとれないと思ってるような問題を出すから、90点を取る、Aプラスを取るのは、教授並の力がないと無理なのである。大体、それを取る奴が・・・・たいてい女の子だけど・・・・毎年各クラスに一人から二人はいるから恐ろしい。lol。文学部の問題に正解=満点なんて神様以外にはありえないのである。法学村のセンセーたちは、満点取れる村人たちです。まあ、たまにとんでもない天才がいたこともありますが、そういうのは40前で早死にしてます。長生きする天才なんて神は許すわけもないlol)司法試験・外交官試験・国家公務員I種、みんな通って警察庁入り。父親は東洋最大の警備会社を中心とするコングロマリット経営者(元警視監)・・・・・たいていの警察・公安の高級官僚出身の財界人・政治家というのは、経済的には体制寄生虫なんだけど、薬師寺一族は、自立している財閥なんで、金と権力という資本主義下での最強の地位を握っていることになる。涼子はその後継者だから、現役の警察関係者も出身者の財界政界の実力者も下風に立たざるを得ない。それで性格がお嬢様なら・・・・そんなのマンガにならないじゃんか・・・・それで性格は高慢がストリート娼婦の服を着てあるいてるようなもんだから、ついたあだ名が「ドラ(キュラすら)避け(て歩く)お涼」。
とても人間の犯罪者レベルでは太刀打ちできないので、田中芳樹はつぎつぎとモンスターを古代の眠りから起こして現代に送り込むことになる。第一作「摩天楼」では、BC4世紀末のベルガモン王国時代の石棲妖蠍(パレオロザキス)、第二作「東京ナイトメア」では老カッサーブの黒魔術を使う陰陽師。第三作「巴里・妖都編」では、ネオナチストの女遺伝子学者(人体実験疑惑でアメリカ追放された)が解明した錬金術「ゾシモスの秘法」のエスタメヌス。。。等等。犠牲者の数は既に万を越えたかも。
CG以前の天才マンガ家石森章太郎がマンガ家入門で書いていましたが、小説でも映画でも表現できないものがマンガでは目に見えるように表現できる。まさにその一つの極みがこのシリーズです。
語るべき内容はない。そんな知的小売業者の功利主義から数百億年の彼方で、この絵、マンガをヴィジュアルに楽しめるのです、読んでる間は酷暑すら忘れる。
(へっ!そりゃあ、オタクじゃないと無理なんじゃないの?)
(うるせい!お前もエスタメヌスに食われてしまえ)
どの話が一番好きかと言われれば、第四話「クレオパトラの埋葬」かな。豪華客船で旅するP国を食い物にしたF大統領をモデルにした日本国籍者とそのあやつる南米の鉱山に巣くう水銀蛇を退治するお話。
うん、貧乏臭くて、地位保全本能だけの政府・官僚・財界のニュースばかり流れてると、こういう化け物退治の女騎士伝説でも読むしかない・・・・てのは本当はヤバイんだろうなあ。