Mystery Paradise

元は今はなきアサヒネットのmystery paradise 会議室の分室のつもりだった。haha

007【私のミステリな日々】2012年4月中旬 岩澤紫麗、佐藤いづみ、カミムラ晋作

2月19日にノルウエーの知人が亡くなったショックで、感情と理性が混乱して、ただ身体を動かして飯を食べているという日々が、週を重ね、月々になりって、花の季節になって、ようやくMINDが元に戻った。。。ような気がする。
というので、書こう。
MEMENTO MORIの2月3月。 やはり、亡くなった作家を読み返していたのだけど、あんまり文字テキストの作家というのは、死んでもそれほどに思いいれが入ってないもので、マンガ家の方が心に残る。もう、旧聞に属するのだけど、和田慎二が亡くなったのはショックだった。ショックすぎて、追悼をまとめられなかった。でも、そろそろ、持ってるものは全部読み返したので、そのうち(いつものことで、いつ書くのかはわからないけど)書こう。
マンガというのは、絵が命でどんなに原作が良くても、絵がつまらなければ、作品として成立しないので、マンガの場合、作者名は作画家に統一しておきます。

カミムラ晋作「必蟲SWEEPERS 1」 原作(藤見泰高)、秋田書店、2010年、552円+税

大人のミステリが、情報小説の側面を持つものが多いように、マンガにも子ども用情報マンガにちかいものがある。子どもの、もしくは子ども並の(または、子ども以下の)大人をターゲットに《編集》という人種が企画を考え出していることが多いのじゃないかと舞踏派は想像しています。
これは、『虫』がテーマのミステリマンガ。小学校5年生の殺虫専門業者東雲信濃君が探偵役。半ズボンの小学生なのに、殺虫消毒業者を開業できるかどうか、税務署と保健所はどうしてるのかなんて、つっこみはいれないのがお約束。アシスタントも同級生の女の子。会社名は「必蟲スイーバーズ」。
最初のお手並み拝見は、シロアリ。大人の業者が立ち代り入れ替わり挑んでもなぜか駆除できない、シロアリ。日本在来種のシロアリではなくて、アメリカ・カンザイシロアリと識別して、「フェロモンを利用した最新駆除技術」をつかって駆除に成功した。でも、最新なだけに、全部自前で開発しなければいかなかったので、費用が1千万を越えて大赤字。小学生社長さんは、叫ぶ。「次の依頼はまだかっ!!」
次は、古着屋に蔓延っていたヒメマルカツオブシムシ。三番目は新種の蚊によるアナフィラキシーかと見えた事件は、実は被害者の過剰ダイエットによる免疫低下によるものと喝破して、解決するものの、駆除じゃなかったので、収入なし。この事件で小学生社長がスカートをはいて登場。女の子だったんだ。
4番目は、精子の匂いがする物質が女性の洗濯した下着や部屋のハンドルにつけられる事件が下着泥棒事件とともに多発。社長のブレーンの研究者が昆虫写真を街中で撮影しているところを不審尋問を受け、ついには容疑者として逮捕されて、その無実を晴らすというストーリー。犯人はミズアブ。ミズアブが、洗剤や柔軟財の芳香成分に誘引されて、あつまり産卵したものと警察立会いのもとで証明実験して、ブレーン(信濃ちゃんに言わせると僕)を救い出す。
ミズアブは、別名便所バチ。黒くて、大き目の蜂みたいで、けっこう線路際にも多いので、よくマクロ写真の練習台になってもらった。ずうずうしく逃げないから、撮り易いのですね。

佐藤いづみ「冷蔵庫探偵 1」原作(遠藤彩見)、徳間書店 2011年、562円+税

一話目は、「生姜葛湯と夫婦仲」 新米刑事(名前は記憶に残ってないので略)が大学時代の仲間の家でのパーティに出る。ケイタリング業者のレイコさんとそこで初めて出会うのだが、そこで、パーティ会場になった友人の妻が失踪する事件が起きる。口では愛妻家だという夫にレイコは冷蔵庫の中身を見て、忙しさにかまけて妻の手料理をほとんど食べていないと告発する。ケイタリングのオーダーの際の好み調べで夫が辛党とレイコは知っていたので、冷蔵庫に揃っている辛み調味料が中身が十分に残ったまま賞味期限切れになっていることとあわせ、そう推理したのです。妻は、甘等で、「甘いものは全部新しいし、手前に入っている」と、夫婦の味覚のすれ違いも指摘した。それで最後に、クリスマス用のクリームシチューの冷凍ものを取り出して言い訳し続ける夫に断言する。
「食事は一日3回。食事の不満や、寂しさも。 その分、溜まるのは早いよ」「夫婦二人なら特に」「つらいよ」
収納容器が一個だけ違うものがあることから、妻が近所に料理を更替しあう友人がいるに違いないからと言われて、夫は妻の家出先を見当つけて、妻を迎えにいって謝罪してハッピーエンド。
新米刑事はレイコとの別れ際に冷蔵庫プロファイリング能力を誉め、「あんた”冷蔵庫探偵”になれば」と薦めた。
ま、その後、上司から、新米ゆえの経験不足と論理思考訓練不足を指摘された刑事は、レイコさんに弟子入りしてケイタリングを手伝いはじめて、ここで冷蔵庫探偵はシリーズ化となるのです。LOLOLOL.

文章で読んでも十分に読めそうな原作を書いた遠藤彩見にテキストバージョンを期待して待つのもいいな。
他に、シイタケスープ、チェリージュビレ、チョコレートムース、にごり酒とタコの水煮の合計五話が入ってます。既に巻2も出ています。

岩澤紫麗「家電探偵は静かに嗤う 1」原作(藤見泰高)、秋田書店、2012年 552円+税

女暴力刑事が脇役で出てくる。脇役だし、一応グラマラスな美人なのも、少年コミック月刊誌連載ものなんだから当たり前である。キャロル・オコンネルのキャシー・マーロイみたいな美女暴力ハミダシハッカー天才刑事なら、名前を覚える価値もあろうが、脇役にすぎないので名前は忘れた。(マーロイはすごいもんね、容疑者に斧を振りかぶって、私が正義だって迫るくらいだもんね。マーシャルアーツで、あくまでも素手にこだわる女暴力刑事とは迫力が違うもんな)
主役は、家電修理屋の家山電。電はあかりと読む。二十代前半だろうと思う、オタクっぽいボサ頭の小柄なメガネ男。太ってはいない。ワンマン会社「瞬速家電修理社」を営む。ワンマンとは文字通り社員従業員経営者合計しても一人だけしかいないという究極の零細企業ということ。家電ものなら、パソコンから、セキュリティシステム、はては家庭電化初期時代の、製造販売会社すらなくなってるような古さのものでも全て修理して完全品に戻してくれるという会社。こんなので食えるのかというと、こんな感じのお得意様をいっぱい持ってるらしい。
「あそこはイイ映像機器が揃ってましてね・・・・・90年代を代表するすばらしいモニター”M2”があるんですよ。当時のVTRやLDを見るなら今の高解像モニターではなく当時のものが最適です。しかもあそこの音響システムは、当時流行のGoseじゃなくモニターと同じメーカーであるラムザを使っているのがぼくの好みで・・・・・・」
そういうものの調子が悪くなるとお呼びがかかるようである。
そういうお得意様の一人の老有名女優が自宅でVTR鑑賞中に、頭を殴られて負傷する事件が起きる。
女優のほかには同居者は一人しかいないメイドが疑われ、捜査当局も人使いの荒い性格のきつい女優の下でストレスが溜まったメイドの犯行説一色にそまるなか、女暴力刑事は、メイドの手の荒れを見て、一人だけ、こんな働き者が暴力事件を起こすわけがないと一人暴走捜査を始めようとするが、孤立。たまたま知り合った家山電と事件解決に乗り出す。ネタバレになるんでストリー解説はこの辺にしておきましょう。
テレビドラマの「探偵ガリレオ」シリーズなんかより、よっぽどしっかりした科学知識に裏打ちされてるミステリです。もちろん、その原作の人気シリーズ作品(以前読んだとき、ほとんど、事件描写の部分でそのトリックが分ってしまって、興ざめしたけど・・・・・つい一昨日、ソレ抜きにして物語の魅力あるかどうか、古本屋で買って再読したけど、昨日、即夢の島行きに・・・・)よりずっと面白いです。サービス部分の女刑事のコスチュームプレイの絵だけでも、楽しい。。。。おいおい。LOLOLOL.
古い家電は、日本には列島を埋め尽くしてもあまりあるくらいあるから、このシリーズ楽しみですねえ。
電みたいな若い友人、一人欲しいですねえ。(自分で直さんかい!)