Mystery Paradise

元は今はなきアサヒネットのmystery paradise 会議室の分室のつもりだった。haha

005 アイン・ランド「The Fountainhead」1952

台風26号はどうやら過ぎたようだ。おかげで二日現場が休工。久々にメインのブログに長文をアップできた。
http://blog.goo.ne.jp/hisamtrois_e/c/bf17a22185017c3eaec489bfbeccb9d1

英文法の個人的バイブルの「英文法の謎を解く」シリーズの著者の副島隆彦さんの書いてるもののどこかで、知った名前が、この著者とオブジェクティヴィズムなんだけど、実はまともに勉強したことないんでネット検索で見つけたこと以外には知らない。例えば、この程度。
http://soejima.to/boards/libertar/10.html

One Shotの方の内容は、簡単で、自己訳抄訳だとこんな具合。

昔昔、アメリカに傲慢頑固な若い天才建築家(建築設計家デザイナー)がいた。彼は、自分の設計にいかなる変更も拒否したので、干されてしまった。(それで一時は石切現場で肉体労働者やるまで落ちぶれたが、彼の天才をしる理解者たちによって・・・・ここらへんがご都合主義というか・・・・ランドの小説ってこういうのが多すぎるんだけど・・・・すこしずつ成功していくのだ)そうしてクライマックスは世渡り上手の知人で同窓生の世俗的成功者の友人に彼の設計で国家的事業の建築コンペを勝ち取らさせる際に、絶対に細部すら変更してはいけないと約束させる。ところが、ぎっちょん、この事業の巨大さに、知人は一人で仕切らせてもらえず、有名若手建築家たちと共同で建築を進めることになり、しかも最終的ユーザの住居予定者のおばさんの要求まで入れてしまった。まあ、それで、天才は、この建物が完成して警備員がつけられた段階で、ある夜、ダイナマイトで吹っ飛ばしてしまい、裁判となるが、建築は建築家のオリジナルであり、他人の名前で設計されたものでも、オリジナルデザイナーのそれが実現されなければ消滅させる権利があると主張して、勝ってしまうのである。少なくとも火薬の無断使用とかなんか別件で有罪になってもいいじゃないかと思うのだけれど、ここがアイン・ランドのフィクション世界。オブジェクティズムのアメリカ世界なんで、最後はアメリカ一高いスカイスクレーパーを設計して、それを建ててるところでエンドとなる。この天才ハワード・ロークこそ男の中の男、男のあるべきすがたであるとアイン・ランドの構想メモにはあるんだけど、ついてけないなあ。
(抄訳どころか、英文より長くなってる・・・・・LOLOLOLOL)
本筋はまあ、ダルであちこち話は飛ぶし、人間は類型的でミステリの探偵と犯人みたいなものばかりでてくるし、男の台詞は陳腐だし(へたくそ!)ご都合主義の見本みたいで、長すぎる。(日本語訳の「水源」は千ページ超えてるとか)
でも、BUT、最後まで読めたのは、ツンデレのヒロイン、Dominiqueのlove story として読んでいったからだった。アメリカンツンデレの祖形みたいな魅力魔力がドミニクにはあるんですね。
ハワードとの出会いは、散歩中に石切り場で遭遇。なんか気になるので(ここでもう恋に落ちてるけど、ツンツン段階)度々見にいくうちに、ハワードも、なら、一丁やったろうと、夜中に家に押し入って、ドミニクをレイプしてものにする。で、ツンツンドミニクは、肉体的にまいってるくせに、ハワードの設計人生の成功機会を全部つぶしてやると宣言して、自分が持ってる大新聞のコラムで、ハワードの仕事を叩きまくる。
まあ、やはり、同じ様なタイプのさらに大物(世界を自分の思うがままにしてやろうというエゴイストの自由主義者:唯我独尊のハワードは大きらいなんですね)コラムニストに睨まれて、仕事が来ても地方の個人邸やスーパーマーケットみたいなものばかりになる。そのうちに、ドミニクは先の表面だけ大成功してる知人建築家と結婚するが、一度も夫の才能を認めてるとか、愛しているとか口にせず、夜の生活も無反応冷淡そのもので、読者の目ではいったいなんで結婚したんだと、不可解。
半年ほどで、大新聞経営の大金持ちと結婚しなおすが、今度は面と向かって、夫に愛してはいないけど、結婚はするわというすごい魔女ぶり。夜の生活は順調で女なんて使い捨ての大金持ちが本気で愛してしまうほど。
大金持ちは、自分の新聞のコラムニストだった(ハワードの最初の裁判時に彼を理解する記事を書いて引っ込めないので首にした)彼女を知り直すきっかけになるのは、ドミニクがハワードと昼は敵、夜は愛人という生活の最中に、ハワードが設計した教会に置かれた裸像彫刻モデルをした、その彫像を先の自由主義者社会主義者風権力志向コラムニストからプレゼントされたこと(その建物は、その陰謀家コラムニストによって糾弾され、解体されたはずなんだ。こいつはどうやって彫像を掠めたのか?そこらへんは書かれてないのです。)・・・・ここらへんもご都合主義だなあと思う。lolol. 
ドミニクと一緒になって、仕事にかげりがさしはじめた・・・もともと平凡な才しかないのだから、成功の階段を登るほど、才能があるものと競いあうことになると劣勢になる・・・・旦那に大仕事を与える替わりに、(まるで手切れ金)さっさと男を替える。大金持ちは、ドミニクの彫像=肉体に惚れ込んでるから、アメリカ一の女を金で買ったつもり。(女衒役は陰謀家コラムニスト)でも、面とむかって、愛してはいないと言われてしまう。気の毒に。
で、美的評価能力のある大金持ちはハワードの仕事に惚れ込んで、彼を私生活まで含めて独占してしまう。ハワードは、ドミニクと大金持ちとのいつも三人のプライベートライフを自然に楽しんですぎるうちに、本筋のほうの裁判となる。大金持ちの新聞グループだけが、ハワード擁護にまわり、ドミニクも擁護派のコラムニストとして現役復帰する。ところが、件の権力志向コラムニストはハワードつぶしに全力をあげ、大金持ちの新聞すら、スタッフを全て仲間につけて、マスコミ全体を反ハワードにするために、ストライキ不買運動まで引き起こす。大金持ちは、購読者激減と、銀行筋の圧力でついに社説で反ハワード記事を書き始めたが、裁判での「自分が自分であるために自分は生きている=仕事=設計している」と主張するハワードに目を覚まされる。まさに、彼もスラムから己が己であるために仕事をして生きて成功してきたのを、人生で初めて妥協してしまったことに気づく。せめて、愛だけは嘘ではないと、すがりつこうとするドミニクに「最初から今も愛してはいない。でもあなたが結婚しつづけたいなら、(セックスの相性はいいし、)いっしょにいるわ。(別れるなら別れてもかまわないわ、あなたほどの大金持ちではないけれど、もともとわたしもお金持ちだから・・・・とはいわないけれど、彼女の態度はもろそういっている。そのプライドの高さに逆に男は離れられなくなっている・・・うん、惚れた者の弱みですねえ。lololol)」と何度目かの宣言を受けてしまう。この女、何考えているんだ?と思いつつも、魅力的なんですね。まさに魔力。で、裁判が終わった後、一度解雇したコラムニストに裁判を起こされて、コラムニストとして、再び連載をやらせるハメになった大金持ちは、そのコラムニストの出社初日に、代表看板の大新聞を廃刊にしてしまい、グループのローカルな三流新聞をメインにして経営を再建する。
そのあ新たなグループ統合本社ビルとして、アメリカ一のスカイスクレイパーを金に糸目もつけずに建てるのを決め、設計施工をハワードに注文する。
そのビルのテッペンの鉄骨の上で現場管理している(普通設計だけで建築家はやらない)ハワードのところへ、ドミニクは、「ミセス・ロークよ」と上がっていく。 
最後はハッピーエンド・・・・ハーッと、やっと安心しました。
うん、最後までハワードが建物以外のことは何を考えているんだかわからなかった。
でも、ドミニクって、薬師寺涼子よりさらに強烈な強さを見せてくれるなあ。
涼子さんは、年上の部下以外には結婚しようとしないもんなあ。ここらへんが男が書いてるのと女が書く小説の違いなのかも。
一緒に買ってしまった「肩をすくめるアトラス」は、
http://cruel.org/cut/cut200005.html
を読むと、読む気が萎えるなあ。
山形浩生さんの書評を読むといつも身の程しらずにも読む気を煽られるんだけど、これはあ、しんどそうだ。
時間の無駄と、無駄を承知で時間を無駄にするのは違うからなあ。
lololol.