Mystery Paradise

元は今はなきアサヒネットのmystery paradise 会議室の分室のつもりだった。haha

都筑道夫「都筑道夫のミステリィ指南」都筑道夫「漆の壁に血がしたたる」

まあ、冷や汗ものの書き込みですね。
今も、Opera16起動しようして他のユーザが使ってますとエラーメッセージが出て、開かないので、タスクマネージャーから終了させる解決法を実行したら、そのタスクマネージャーのリストに出てこない。これは一回シャットダウンと思ったら、そのシャットダウンも延々と続いていつになったら終わるのか分らない。これでは、ここの1年ぶり更新ができないじゃないかと、ノートをひっくり返し、電源引っこ抜いて、さらに電池を強引に抜き去るという荒芸でリセットした。Operaは時々ゾンビ化して、メモリに居座って、ホラーフィルムに出演するというのは、最新版を使わず古いOpera(こっちの方がブックマーク操作がこなれていて使いやすい・・・・最新版は、なんか、ぶっくまーくなんかやりたくねえよとふてくされているような社員と仕事してるような感じなのだ)に半年前から起きることなんで、慣れてしまった。
ま、この一年、読んだのはいっぱいあるんだけど、歳とって気難しくなった老人の運命か、皆、今一つなんですよ。ですが、6月に急に引越しする羽目になって、片端からゴミを棄てまくった時に、あ、これは読んだはずだが内容忘れたとか、うわ、これ多分読んでないってのが出てきまして、それは新居へまた積上げて読み直し。年取ると、既読も初回みたいなモンで、これも悪くないですね。

都筑道夫都筑道夫ミステリィ指南」1990年講談社文庫420円

冒頭で都筑はミステリィはエンタテインメント(entertainment)
小説であると定義します。enntertainment の辞書第一義は「おもてなし」であるから「小説の書きたい人間が、同時に、人を楽しませる目的を持って、それによって報酬を得ようとして書くものである」と説明する。続いて、「ことに、エンタテインメント・ノヴェルの中で、いちばん大切な『おもしろい話』という部分、つまりストーリィを考える技術というのは、これはもう絶対といっていいくらい、他人にその秘訣を伝えることが不可能なものであります.....その一番重要な部分が、おもしろい話を考え出す技術であるとすれば、残りの部分は、それを『文章でいかに語るか』ということになると思います。その『いかに語るか』という部分は、つまり小説を書く技巧ということですが.....いろいろな作家たちが長い間試みた結果の最大公約数のようなものができておりまして.....そういう、ひとつできあがった『おもしろい話』を『いかに文章で語るか』-----その部分だけに限定してお伝えする.....それが、この本の目的とするところであります。」
うん、これ以上にこの本をまとめ紹介しようがないなあ。lolol
で、怪奇小説の実例書き方から初めて、パロディ推理小説、SF、ファンタジィと都筑自身の実作品のバックステージストーリィみたいな話が続くので、これから作家になろうとする人には役に立たないかもしれないが、都筑ファンにとっては、バックステージとかメイキングをYoutube で見るような楽しさがある一冊なのです。

都筑道夫『朱塗りの壁に血がしたたる』2002年光文社文庫、160円定価457円税別 初出1977年、1980年角川文庫。

解説を新保博久が書いている。
「若い熱心な本格推理ファンにとって、名のみ高く、しばらく入手困難だった物部太郎&片岡直次郎コンビが活躍する『七十五羽の鳥』(昭和47年)『最長不倒距離』(同48年)に続いて、この『朱塗りの壁に血がしたたる』(同57年)でめでたく、三部作の新版が出そろいました。」
都筑の書く「本格推理」というのは完全フェアプレイで、エラリー・クインの「国名シリーズ」並みに挑戦状がはいってないのが不思議なくらい。さあ、解けるなら解いてみよ。
謎は橋が嵐かなんかで両端が破壊されて中央部分だけが残っている、その上に轢殺された男の死体がある、橋板には四輪車のタイヤ跡が残っている、という読者から出された状況でミステリを書くはめになった紬志津夫という作家が、いろいろ調べていると実際に昭和24年にそっくりの事件が日本海側の宇賀神橋というところであったという情報提供があった。そこで当時事件の記事を書いた新聞記者へのインタビューと現地調査を物部・片岡コンビの探偵事務所へ依頼するが、ものぐさ太郎という異名をとる物部は動かず、片岡が出かけるのだが、インタビュー後に元新聞記者は殺され、片岡も宇賀神橋事件関係者の家の朱塗りの部屋の密室殺人事件に巻き込まれ、犯人として逮捕されるはめになる。
うむ、最後まで犯人をあてずっぽうすらできなかった。
都筑もこういう読者とのハードなパズル問題エンターテインメントを書くのはくたびれたのか、これ以降は短編(退職刑事シリーズとかナメクジ長屋シリーズとか)か、もっと軽い味の物語(紅子シリーズ)を書いたのだった。

ふう、ここまで書いて都筑道夫「西洋骨牌探偵術」を書く気力が尽きた。今年はここまでにしとうございます。よいお年を。LOL
気力がもどったら元日にでもつづきを書こう。