Mystery Paradise

元は今はなきアサヒネットのmystery paradise 会議室の分室のつもりだった。haha

【heiji】028 藤井邦夫「詫び状 知らぬが半兵衛手控帖」(株)双葉社 双葉文庫 2011年 360円 定価619円+税 「名無し 新・知らぬが半兵衛手控帖」2018年 双葉文庫 620円 「影法師 柳橋の弥平次捕物噺」(株)二見書房 二見時代小説文庫 2006年 108円定価648円+税 

別文庫の「秋山久蔵御用控」シリーズのスピンアウトシリーズみたいなものだけど、個人的にはこちらの新シリーズの方が好みです。何がどうであれ、悪は悪、罪は罪という長谷川卓作品に少々うんざりして来ていたところに、銭形平次風の、俺にはさばけねえ、知らぬが半兵衛を決め込むから黙って心に殺しの罪の重荷を背負って生きていきなというところが、粋。時々秋山久蔵もその手下たちと顔だしてスパイスを聞かせてくれます。
もともとこのシリーズ20冊くらい続いていたんですが、脇役が一人殉職したせいか、新しい手下を加えて「新」シリーズが始まったらしい。
思案橋」「曼珠沙華」「緋牡丹」と出て「名無し」が4冊目。この名無しが先週、新小岩駅北口の本屋で現場記念に一冊と手に入れたんですね。積みだなに、新刊と積み上げてあったので買ってしまい、9頁(「第一話 お宝さがし」で始まる実質の一頁目)にこうある。
kokokara--------------------------------------
「旦那、野良犬が小判を咥えて根津権現界隈を彷徨いていたって話、ご存知ですか・・・・・・」
koko--------------------------------------made.
町奉行所臨時廻り同心の白河半兵衛の日髪日剃をしながら廻り髪結いの房吉が話し出した。
・・・ん?あれ?(新小岩荻窪の45分の車中読書を始めて数十秒というところ)あ、ご存知だあ・・・・これ覚えがある。
BookOffで「思案橋」を買って、これは気が合うと新刊で買った・・・
まあ、アホである。
話の方は、事件が片付いて、一緒に捕り物をした秋山久蔵と昼酒を楽しんで終わる。
kokokara-------------------------------------P.306
半兵衛は、久蔵に酌をした。
「それで良いのか・・・・・」
「秋山さま、世の中には私たちが知らない方がよい事もありますよ」
半兵衛は、手酌で猪口に酒を満たした。
「知らぬ顔の半兵衛か・・・・・」
久蔵は苦笑した。
「畏れ入ります」
koko--------------------------------------------------------made.
「影法師」の方は「秋山久蔵」シリーズのスピンアウトシリーズで弥平次親分の物語。これが一冊目で3年間で4冊は少なくとも出てるらしい。表紙の親分がシャボン玉を二階から飛ばしてる絵(宇野信哉)がいいですねえ。
こういう人情で法を勝手解釈する話は何度でも読み返せるけど、現実の「忖度」スキャンダルは日本古来伝統の官僚システムの闇話でうんざりしますねえ。