探偵業の業務の適正化に関する法律
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/index.htm
この警視庁のペイジから法令・条例というところをクリックすると、最近施行されたものが並んでいる。探偵業者になれない欠格事由というのが定められて、怪しげな業者を締め出すことができる。警備業法になじんでいるものは、元になっているのが警備業法じゃないのかと思えるくらい、欠格事由が似ているのですね。ま、一言で言えば、ヤクザ、前科持ちの排除なんです。
それと、消費者保護の観点から、契約前に費用や調査内容を書面にして客に渡し、さらに本契約の時にまた添付するというのが法律の眼目です。
無許可で営業すると、30万円の科料と半年までの懲役が待ってるというもの。
高校生が二人で、高校生を対象とした尾行等の素行調査をする会社を立ち上げるなんてことは、これからは、不可能になります。
ウイキペディアにも解説があります。
まあ、これはほんの端緒で、これから多分、5年おきくらいに改正されて、だんだん警備業なみに規制が厳しくなっていくのだろうと思います。
ミステリ作家で私立探偵を主人公にしてる、例えば東直己さんの札幌ハードボイルドシリーズなんかは業法をめぐる喜劇を織り込んで、ちょっと活気がでてくるかもしれない。
この法律の目的は第一条に明記されている。
第一条 この法律は、探偵業について必要な規制を定めることにより、その業務の運営の適正を図り、もって個人の権利利益の保護に資することを目的とする。
つまりね、これまでの探偵業は、規制がなかったから、業務運営が恣意的(でたらめで)、お客の利益より、自分たちだけの利益追求のあまり、国民消費センターに3000件だったかな、を越す苦情が寄せられていたようなボッタクリはもうやらせないぞということなのです。
で、第二条で探偵業が定義されます。
「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として、面接による聞き込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。
で、一応報道の用に供する目的で報道機関の依頼を受けて行う上のような業務は、この法律で規制される「探偵業務」には該当しないと、第二条第二項で明示されています。
「特定人の所在又は行動」と限定してるから、会社やなんかの信用調査は規制の対象にはなってないと思います。もちろん、物とか動物探しも除外されるから、いわゆる便利屋さんは規制されないわけです。
犯罪捜査する私立探偵の金田一さんとか明智さんなんかもやっぱりこの法律の対象外です。
また一回こっきりで、友人の娘の行方を追いかけるというような場合、「営業」(繰り返し行うのが要件)ではないから、お金もらって探偵ごっこしても、この法律違反で逮捕されることはありません。また、社長さんが、自分の会社の社員を使って、使い込み逃亡したのを追いかけさせるようなのも、自社警備同様、自社探偵(こんな言い方があるかな)だから、この法律に引っかかることはないわけです。(組長が組員に追跡させるのがその極端な例かな。もし、これが組長の知り合いからの依頼だったりしたら、他人の依頼を受けてに該当するから、警察は見逃してくれないでしょう。)
ま、けっこう面白い法律です。