Mystery Paradise

元は今はなきアサヒネットのmystery paradise 会議室の分室のつもりだった。haha

【私のミステリな日々】2003年4月 Murder by Parnell Hall, 佐藤雅美, Last Seen Wearing by Collin Dexter, In Big Trouble by Laura Lippman,

kokokara-----------------------------------------------------2003/4/6--

パーネル・ホール 「犯人にされたくない」ハヤカワ文庫 200円 定価 640円+税

Murder by Parnell Hall, 1987.

スタンリー・ヘイスティングシリーズ第二作。息子が4才で、幼稚園に通うことになり、幻滅した進歩派のスタンリーも、私立幼稚園へ入れようと思った。
問題は、前作の後、弁護士事務所の時給十ドル(実際に働いた時間に対して払われるから、日給八十ドルってわけではない)調査員を止めて、再び作家業へ挑戦していたことだった。つまり、無報酬、妻と子と自分の食い扶持は、妻のコンピュータ関係の自宅内職で、スタンリーだけが働いていたときより多い実入りだったのだが、さすが、私立幼稚園の経費は負担しかねたというわけ。半分は妻の父の会社社長が負担してくれたが、残りは、スタンリーが担わねば、男がすたるというもの。というわけで、彼はまた元の弁護士事務所の救急車おっかけ調査員の生活に戻ることになった。
また、道路のヒビの写真を撮り、怪我人の怪我を撮る日々に、妻のアリスが友人の主婦売春婦で息子のトミーの御学友の母親のパメラの問題解決に乗り出すはめになる。最初はちょっとした気晴らしで客を取ったのが、女衒ギャングにビデオ、写真を撮られて、足を洗うにも洗えないというのである。
スタンリーは、その黒人の(アメリカの大都市の女衒はたいてい黒人である)ダリル・ジャクスンという俳優崩れの男を尋ねると死体になっていた。
さあ、警察には通報しなきゃいけないが、パメラの名前を出すわけにもいかない。そこで、ダリルから事務所に保険請求代行依頼の電話が入ったので訪問したということで、警察に通報したのだが、さすが、警察は明きめくらではない。直ぐに、スタンリーの小細工を嗅ぎつけて、容疑者として追い始める。
今回は、スタンリーの雇い主の金満弁護士リチャードが、スタンリーのために弁舌を振るって、警察を封じこめる活躍で、シリーズの一つのパターンが始まりますが、なかなか楽しい脇役です。
他の作品ほどには、スタンリーの科白に洒落たものがないのだけが欠点と言えますか。

佐藤雅美 「恵比寿屋喜兵衛手控え」講談社文庫 1996年 300円 定価648円+税

江戸時代に、お上に金銭トラブル、土地トラブルを訴えて、判断を求めるという、いわば、民事訴訟の公事という制度があったそうだ。その公事上京者の宿を提供するのが公事宿で、これが一種の身元保証人みたいな役割を果たしはじめ、またその公事書類の代書屋みたいなこともやるから、司法書士と弁護士みたいな役割になっていたらしい。一種の民事訴訟専門岡ッ引みたいなものが登場してきたのである。喜兵衛は、そういう公事宿の主で、馬喰町の百軒ほどの旅宿、旅篭の中の一軒の主なのです。毎日道路に立って、客引きの傍ら、公事世話もこなして、けっこういそがしい。
その客に越後の百姓六助がいた。兄が全然覚えのない金を、これまた見ず知らずの他人から返せと迫られているという公事だった。
これが、証人が出れば出るほど、錯綜した訴訟になり、さすがの名吟味方与力仁杉七右衛門をもってしても難訴訟になり、関わってる喜兵衛もどうするか悩むことになったが、その内に、喜兵衛を伺う影みたいなものに気づいた。喜兵衛がやり手なだけに、恨みを買う相手や、足を引っ張ろうという同業者は多いのである。
そこで、殺されたらしい行方不明の関係者を追うとともに、自分を狙った刺客の正体を追いかけるこどで、喜兵衛は入り組んだ謎の本質を探り当てる。
とまあ、ミステリーとしての筋書きは荒っぽくまとめるとこうなる。
これに、裁判物語の要素も入って、しかも、喜兵衛の親族関係の表裏利害関係が絡み付いてるから、ややこしい。よく、ぐちゃぐちゃにならずに、スッキリと、話をエンディングまで持っていくものだと感心しちゃいました。
凄い筆力ってやつですね。

◎コリン・デクスター 「キドリントンから消えた娘」ハヤカワ文庫 1989年 100円 720円+税

Last Seen Wearing by Collin Dexter, 1976.

モース主任警部シリーズ第二作で、このモースさんというのが、どっちかというと、プロの警察官というより、アマチュアの名探偵風の発想と推理を展開する警察官なんですね。
キドリントンで17歳の男遊びが好きな女の子が失踪する。そうして、二年後に両親のところに娘から手紙がつくが、現在どこにいるのか所在不明というので、両親は警察に捜査を依頼する。そこでモースが担当となるのだけれど、モースは娘は死んでいるという直感から捜査をスタートする。つまり、手紙はフェイクで、誰かがなんらかの理由で、今になって生きていると見せかけるために、手紙を出したと推理したわけです。
というので、モースはキドリントンの娘の在学した学校関係から情報を集めにかかるのだが・・・
ここから、一筋にはいかない迷路彷徨のような捜査が始まる。それでも、モースは犯人を推理してぴたりとみつけるのだが、さてモースが逮捕に成功するかどうかは、むむむむむ・・・・話せないのですねえ。
最後のむむむむむまで一気に引っ張って行く構成力、文章術は、やはり、八十年代を代表する作家になっただけのものがあったなあと、今にして感心しなおします。

◎ローラ・リップマン 「ビッグ・トラブル」ハヤカワ文庫 2001年 350円 定価920円+税

In Big Trouble by Laura Lippman, 1999.

元新聞記者のボルチモアの女私立探偵、テス・モナハンシリーズ第四弾。
身長175センチで、股下91センチの乙女座だそうだ。うむ、とんでもない足の長さだなあ。
今度の舞台はテキサス。第三作で別れた、恋人のクロウから、窮地に陥ったという、どんな窮地かも書いていない手紙が届く。
クロウの両親はテスに捜査を依頼するが、テキサスに出張したテスは、クロウを見つけられない。クロウの暮してた部屋に、転がっていたのは、顔を吹き飛ばされた死体。テスは、クロウが一緒にテキサスに行ったバンド仲間を探すことから追跡を始める。しかし、調査でわかったことは、クロウはエイミーという女と一緒になって、ボルチモアからのつきあいのバンドを解散していた。
そこで、今度はエイミーを探し始める。果たして、クロウは生きているのか、死んでいるのか。
うん、見つかった後で、二人はよりが戻るのか・・・
テスのファンならこういう設定は読み逃せないだろうけど、そうじゃないなら、なんだ、これは、今まで、男の探偵が、別れた女を捜す羽目になるあのパターンじゃないかって思っちゃうかも。
でも、これは、逆なんです。
はい、女探偵が分かれた男を捜さざるをえなくなったら????という新機軸なんです。
to----------------------------------------------------kokomade.

ミステリ舞踏派久光@新潟・長野でまたも震度6.70越えた高齢者ばかりそれも女性が犠牲者。休日だったので若いものや中年が事務所とか倉庫とか工場にいなかった理由だろう。農村部での老婦人一人だけの犠牲者というのは、休日の留守番中の人が多かったのかなあ。なくなった方のご冥福を祈るのみです。