Mystery Paradise

元は今はなきアサヒネットのmystery paradise 会議室の分室のつもりだった。haha

2000年のベストと20世紀ベスト

アサヒネットのミステリパラダイス会議室は毎年末に参加者のその年のベストミステリ記事を書くのが年末行事だった。
この年は、ちょうど世紀替わりということで、ついでに大きく世紀ベストもアンケートしたのでした。
結局、この年が最盛期のメンバーの書き込みの勢ぞろいが見られた最後の年となって、ミスパラ会議室は、過去形で語られる化石会議室になってしまったのでした。
kokokara----------------------------------------------------------

【2000年のベストミステリ】舞踏派

トータルとしての#1は、
若竹七海古書店アゼリアの死体」KAPPA NOVELS 2000年
湘南葉崎シリーズ、第二弾。若竹作品はこのシリーズ以外はあんまり、好きじゃあありません。深刻なテーマを深刻に描いてたりするんで、読んで疲れるから。
でも、これは布団に潜りこんでも読むのをやめられないという欠点以外はなにもない。

これと並ぶのは、
打海文三 「されど修羅ゆく君は」徳間文庫 2000年
登校拒否家出女子中学生と中年探偵という組み合わせだと、まあ、筋も結論も見え見えなのだけれど、殺人容疑者の逃亡者に、婆さん(婆あと言う方がピッタリの)に探偵が絡んで、公園の全裸美女死体の謎に振りまわされるという話。
ヒロインと探偵と脇役をそっくりそのままで、また読みたくなる一品。

捕物帖では
宇江佐真理 「幻の声 髪結い伊三次捕物余話」文春文庫 2000年
岡ッ引というよりは、下っ引きの、同心手先の髪結い伊三次の人情、謎謎、センチメンタルな後味とみんなそろった捕物帖。目頭熱くなるのが嫌いじゃない人には、たまんないでしょう。

一番怖かった犯人と言うか敵役は
ジェイムズ・セイヤー「地上五十ミリの迎撃」新潮文庫1998年
ニコライ・トゥルソフという、スナイパーテロリストの殺人鬼ぶりは、夜中に読めないくらい、怖いです。
意味不明の題名を平気でつける、この出版屋のセンスにはあきれます。なんで「白銀星」とでもつけないんでしょうね。いっそのこと「ベトナム狙撃兵対アフガン狙撃兵」くらいの方がまだましだと思う。まあ、佐藤亜紀さんの絶版事件といい、ロクでもなり出版社ですからあきらめるしかないか。
 
マンガは、
小手川ゆあ「おっとり捜査」集英社ヤング・ジャンプコミックス 全十巻。
無動機の殺人、殺人のための殺人というのがテーマで、書きも書いたり、十巻、スプラッタの連続。昔、石森章太郎が、佐武と市捕物控で、救いがねえとつぶやいたような事件の最後で、犯人に小便を引っ掛けて、次の事件へと頭をきりかえる刑事の性格設定といい、人間と言うのは簡単に割りきり説明叙述はできないよと作者は言ってるかのようです。

作家は二人。
太田忠司
 少年探偵、俊介シリーズ、やっと全部読んで追いついた。
庄治圭太
 観相師南龍覚書を文庫で全部そろえた。
 

◎【20世紀ベストミステリ】舞踏派

良し悪しは別として好きなのを思い浮かぶ順に並べると。

1.コナン・ドイル 「バスカーヴィル家の犬」
  中学のとき呼んで実に怖かった。
2.モーリス・ルブラン 「八点鉦」
  そう、これのルパンの変装はよかった。
3.野村綺堂 「銭形平次捕物控」
  角川と新潮の二つの種類の文庫の入り混じりで買ったのだった。
4.ブレッド・ハリディ 「マイケルシェーンシリーズ」
  これで、ハードボイルド入門したのです。押し入れのカード発掘やる気ないので、書名はご勘弁を。
5.イアン・フレミング 「ドクター・ノー」
  これが、最初に買ったペイパーバック。
6.エラリー・クイーン 「エジプト十字架の秘密」
  全米をデュッセンバーグでエラリーが駆け巡る。首を切られてさらしものにされる犠牲者はショックでした。
  ショックはなかったけど、一番好きなのは、「ハートの4」
7.S・S・ヴァンダイン 「ドラゴン殺人事件」
  「グリーン家」や「僧正」もすきだけど、なんたって、ドラゴンの正体が笑えます。これで、なるほど、ミステリーは時代考証しながら読まないといけないと気がついた.
8.J・D・カー「連続殺人事件」
  スコッチと蛇と手品の小道具が好きなんです.
9.クレイグ・ライス「ホームスイート殺人事件」
  姉妹弟の子ども探偵のLAの霧の季節の物語。
10.W.コリンズ 「月長石」
  物語としての文章がいいんだな。特に結びが。
11.マイ・シューバルー/ペール・バールー 「消えた消防車」
  ラーソン警部がいいんだなあ。ベック警視も好きだけど。
12.シムノン「ゲームーランの踊り子」
  いいのだ。この少年とメグレ警視の関係が。
13.高木彬光「刺青殺人事件」
  三つの刺青と密室・・・よかったなあ。
14.横溝正史「悪魔の手毬歌」
  解説は要るまい。
15.グレアム・グリーン「第三の男」
  サスペンスものの一級品。
16.W.アイリッシュ 「暁の死線」
  最後に故郷への大陸横断バスへ向かって走る女と男がいいのだ。
17.フレドリック・ブラウン「シカゴブルース」
  トムとエドの甥っ子と叔父の組み合わせのハンターシリーズのデビュー作。シカゴを舞台にした一種の青春小説にもなってる。気に入って翻訳を二種類買ったのだった。
18.ガストン・ルルーシュ「黄色い部屋の謎」
  悪党が魅力的な密室トリックの古典
19.サラ・パレツキー 「ガーディアン・エンジェル」
  風と友に去りぬのヒロインが探偵になったら、こうなるかという女ハードボイルドです。
20.桐野夏生 「ファイボール・ブルース」
  シリーズにはならないとは思いつつも、女プロレスラーにまたあいたい。
21.有明夏夫 「狸はどこへ行った」
  大坂が舞台の明治観光案内捕物帖。そう言えば、警視庁国際特別捜査隊に赤岩という刑事さんが実在するんだ。
22.サマセット・モーム 「アシェンデン」
  作家スパイの体験ミステリー。
23.都筑道夫 「キリオン・スレイの生活と推理」
  ナメクジ長屋シリーズもいいけど、やっぱり、こっちだな。
24.ダシール・ハメット 「ガラスの鍵」
  この探偵役賭博師ネド・ボーモンが雰囲気あっていいのです。
25.若竹七海 「古書店アゼリアの死体」
  今、ハマッタばかりの作家ですが、まだ、この葉崎市シリーズは二作しかない。
26.結城昌治 「髭のある死体」
  捜査中、浅くてぬるい噴出したばかりの露天温泉に入る刑事たちの場面を思い出す。
27.赤川二郎 「三毛猫ホームズ*」
  最初のトリックが一番印象的だった。ホームズが、マッチ箱をひっくり返して教えるやつ。
28.A・A・ミルン 「赤い館の秘密」
  故真鍋さんのイラストが印象的に記憶がある。中学校の図書館で読んだ。あの図書館は今もあるのかなあ。
29.クロフツ 「樽」
  田村隆一の訳がすごかったから印象深いのかもしれない。
30.ガードナー 「ペリー・メイスン」シリーズ
  あんなにいっぱいあったのにね。さっぱり見なくなった。

以上、30冊(シリーズ?)。出版社は、早川と創元社が多いとおもうけれど、それほどマイナーなのはないと思うので、略しました。(記憶で書いてるから、覚えてないというのが正しい(笑い))
to-------------------------------------------------kokomade.
2007年夏の今だと、20桐野夏生と25若竹七海は、外れるだろうと思う。かわりに、骨探偵シリーズか、シャンディ教授シリーズが入る可能性が大。あと、リタ・メイ・ブラウンとハーラン・コーベンが続くというところかな。
江戸川乱歩エドガー・アラン・ポーは、思い出すのを忘れたようだ。
そのうち、オシドリ探偵あたりも入れてベスト50を選びなおして
みようかなあ。
ミステリ舞踏派久光
(なつかしの図書館は既に解体されていた・・・グーグルマップの航空写真で現在の仙台を見てその大空襲後の再開発をやったようなのを見てショックを受けたのだった。もう故郷は帰るところにあるまじや。あるまじや。15 0ctobre 2010)